『イタリア好き』@長野・北信州イタリアンイベントを終えて

今はまだ、言葉にできない感謝の気持ちと、湧き出るような満足感で心が満たされている。

もちろん完璧ではなかったし、反省点も多々ある。

でも、それ以上に僕の心には、大きな感動を残してくれた2日間だった。



果たしてあれがイタリアンだったのか?

と言われれば、それは甚だ疑問ではあるかもしれないが、

その土地に暮らす人に会い、その土地の作物を知り、土地の料理を食べる。

そしてコミュニティを大事にする。

これは僕が『イタリア好き』で体験してきたこと。

今回は、まさにその日本版だった。

 


そしてこの方の力無くして、この企画の成立はしなかった。

感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。

 

イタリア好き委員会 松本 浩明

 

※毎回イベントにも参加してくれている、熱心な読者の方のブログが、

とても丁寧にこのイベントのことを書いてくれています。

ぜひそちらもご覧ください。

 

 

 

 

 

 

イタリアCINEMA好き― Fabrizio Bosso suona Nino Rota

イタリアのジャズシーンを代表するトランぺッター、ファブリッツィオ・ボッソ (Fabrizio Bosso) が
1年半ぶりに来日しました。
最近イタリアのジャズは非常にイキがよく、日本でも徐々に人気に火がついていますが、
その牽引役となっているのが、まさにこの人、ファブリッツィオ・ボッソ。
ハードバップからラテンまで、来日の度にいろんな面を見せてくれるボッソですが、
今回のステージは、彼の最新アルバム「ニーノ・ロータに捧ぐ~ゴッドファーザー」から
「サウンドトラック=映画音楽」をメインに、魅力あふれるライブをみせてくれました。

彼が映画音楽をとりあげたのは、もちろんこれが初めてというわけではなく、
ソロCD「You’ve Changed (日本発売タイトル:ニューシネマパラダイス)」などでも
たびたび演奏しています。

ご存じの方も多いと思いますが、ニーノ・ロータといえばイタリアが生んだ偉大な作曲家の一人。
クラシックも書いていますが、やはり日本では「道」「甘い生活」などのフェデリコ・フェリーニ作品や
「太陽がいっぱい」「ロミオとジュリエット」など、映画音楽の名曲の数々がとてもよく知られています。

このファブリッツィオ・ボッソのアルバムは日本では今年発売になりましたが、
そもそもは昨年2011年12月3日がニーノ・ロータの生誕百年にあたることからそれを記念して
ロンドン交響楽団と共に製作されたもので、ヨーロッパでは昨年末に発売されています。

5月18日(金)にブルーノート東京で行われたライブでは、
ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット)、クラウディオ・フィリッピーニ(ピアノ)、
トンマーゾ・スカンナピエコ(ベース)、ロレンツォ・トゥッチ(ドラムス)のカルテットで、
フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー 愛のテーマ」や
ルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」などの曲を、フルオーケストラのCDとは一味ちがう、
より“ジャズ”なテイストで聞かせてくれました。
ライブの終盤にはちょっとコミカルにおなじみのアニメ「フリントストーン」のテーマも交えたり、
ジャズファンのみならず、映画・映像のファンにも十分に楽しめる内容でした。



ファブリッツィオ・ボッソ@ブルーノート東京
2012年5月18日(金)~5月20日(日)

渡辺いさ子/ Isako Watanabe

ヴァッレ・ダオスタ  ズッパ・アッラ・ヴァルペリネンツェ

ヴァレ・ダオスタでいちばん気に入った料理。

それは、Zuppa alla valpellinentze(ズッパ・アッラ・ヴァルペリネンツェ) だ。

本誌p32でも少し紹介している。

チリメンキャベツをくたくたに煮てから、硬くなったパン、フォンティーナを重ねて、

ブロードを入れ、オーブンで約25分。

分かりやすく言えば、オニオングラタンスープのキャベツ版。

そして、食べる直前にアツアツの溶かしバターをかける。

ジュワと音がして、食欲をそそる香りがひろがる。

そのアツアツをフーフーしながら食べると、キャベツの甘みと、

濃厚なフォンティーナの味が見事に絡み合い、思わずにっこりする。





取材中は同じようなズッパをよく食べた。

寒い冬には体を温めてくれるひと品として、ここに住む人の日常食となっているのだろう。

本当に美味しかった。

ただ、ひとつ付け加えれば、大変高カロリーであることは言わずもがなである。

胃袋と内臓脂肪などが気になる方は、少々控えめにしたほうがいいかもしれない。

ちょっと危険な誘惑の味である。

 

Hiroaki Matsumoto

 

 

 

ヴァッレ・ダオスタ アグリトゥリズモ・レ・セクレイル取材記

1500mの高地にそのアグリはある。
本誌p30でも紹介している。
ここでは、夫のことに触れてみる。



26年前に、家族で暮らし、ともに働ける場所と選んだのがこの地だった。
慣れ親しんだ生活を新たにするには、
ある意味では、勇気がいることだ。
でも一家の主として、夫(父)の信念は揺るがなかった。
その芯の強さが、男としての魅力に映った。



たくさんの言葉を交わしたわけではない。
その様子や、振る舞いが自分にはない、
マネのできない男らしさを感じたのだ。



取材中、夫はひたすら妻を立てた、
マンマの料理の取材ということもあるだろう、
その姿は、豊かな心のつながりと、信頼し支え合う夫婦に映る。



長男が言った。
「イタリアでは家族の信頼がいちばん」
この地を選び、家族が一緒に暮らせる場所を求めた結果、
それは言葉だけではなく、見事に実現している。

心の豊かで、安らげる場所を作り、
皆がささやかな幸せを感じて暮らしている。
26年間はその結晶だ。
そしてそこには、
お客さまを惹きつける魅力の要素が全て揃っている気がした。



イタリア好き委員会
Hiroaki Matsumoto

 

イタリア好きVol.9:ヴァッレ・ダオスタ特集

vol9cover

vol.9 ヴァッレ・ダオスタ州

アルプスの山に囲まれて住む人々 固い表情が緩んできたら 心を許してきた証し

四方を山に囲まれ、昔からアルプス越えの要所として重要視されてきたアオスタの谷、“ヴァッレ・ダオスタ”。谷のあちらこちらに、大小さまざまな城塞がいくつも残り、当時を思わせる。そんな地理的な特徴を抱えたこの地の人は、口ぐちに自分たちの事を“閉鎖的”だと言う。確かに取材先の誰もが、初対面の瞬間から、明るく開放的に笑顔で迎えてくれることはなかった。 ヴァッレ・ダオスタといえば、フォンティーナチーズだ。冬の長いこの地で、重要な食料として、昔から重宝されてきた。それだけにチーズへの思いは格別でもあり、日常の料理には欠かせない。僕らも毎日食べ、その美味しさに触れた。そのチーズづくりの名手は意外なほどに若かった。彼は牛舎に入ると、まるで友達に話しかけるように、牛と会話し、自分の子供のように仔牛を抱える。そうしている時間が本当に楽しく、幸せそうに見えた。そして、澄んだ瞳で語る彼の話に僕は引き込まれた。小さなころから父親の姿を見て、この世界に入ることを決め、専業農家としての道を歩む。酪農の将来を案じ、家族を、動物を愛する、若干28歳。年齢よりもはるかに成熟した大人の風貌だった。 今まで真剣な表情でチーズづくりについて語っていたその彼が、「週1回ディスコに行くのが楽しみだね」と、顔に満面の笑みを浮かべ、少し照れくさそうに話し、職人の顔から若者の顔になった。その時、心を許してくれたと感じた。そして少し彼のことが理解できた気がした。 アオスタ人。警戒心が強く、確かに笑顔が出るまでには、少し時間がかかる。その代わりに信頼を得れば、これほど確かな友人はいないだろう。 デ・ボッスのオーナーブルーノさんは、ついに話している間は、ほとんど笑顔を見せなかった。そういう姿は、製品にかける真剣さも物語っていた。そのオーナーが、別れ際に笑ってお土産をくれた。長い時間取材をしていた僕らの姿勢を受け入れてくれたのだと感じ安心した。    セゴールのディエゴさんは、最終日に頼んでおいたものを取りに行った時には、カフェに誘われ、僕のつくったVTRをうれしそうに見てくれた。  フランス語は必修という、イタリア北部の小さな州、ヴァッレ・ダオスタ。国境に暮らす人々の笑顔に出会うまでの時間が、短くなったと感じたら、この州の魅力にもう一歩近づけるはずだ。

ヴァッレ・ダオスタ特集

vol.92012年5月発行
在庫なし

アルプスの山に囲まれて住む人々
固い表情が緩んできたら
心を許してきた証し

四方を山に囲まれ、昔からアルプス越えの要所として重要視されてきたアオスタの谷、“ヴァッレ・ダオスタ”。谷のあちらこちらに、大小さまざまな城塞がいくつも残り、当時を思わせる。そんな地理的な特徴を抱えたこの地の人は、口ぐちに自分たちの事を“閉鎖的”だと言う。確かに取材先の誰もが、初対面の瞬間から、明るく開放的に笑顔で迎えてくれることはなかった。 ヴァッレ・ダオスタといえば、フォンティーナチーズだ。冬の長いこの地で、重要な食料として、昔から重宝されてきた。それだけにチーズへの思いは格別でもあり、日常の料理には欠かせない。僕らも毎日食べ、その美味しさに触れた。そのチーズづくりの名手は意外なほどに若かった。彼は牛舎に入ると、まるで友達に話しかけるように、牛と会話し、自分の子供のように仔牛を抱える。そうしている時間が本当に楽しく、幸せそうに見えた。そして、澄んだ瞳で語る彼の話に僕は引き込まれた。小さなころから父親の姿を見て、この世界に入ることを決め、専業農家としての道を歩む。酪農の将来を案じ、家族を、動物を愛する、若干28歳。年齢よりもはるかに成熟した大人の風貌だった。 今まで真剣な表情でチーズづくりについて語っていたその彼が、「週1回ディスコに行くのが楽しみだね」と、顔に満面の笑みを浮かべ、少し照れくさそうに話し、職人の顔から若者の顔になった。その時、心を許してくれたと感じた。そして少し彼のことが理解できた気がした。 アオスタ人。警戒心が強く、確かに笑顔が出るまでには、少し時間がかかる。その代わりに信頼を得れば、これほど確かな友人はいないだろう。 デ・ボッスのオーナーブルーノさんは、ついに話している間は、ほとんど笑顔を見せなかった。そういう姿は、製品にかける真剣さも物語っていた。そのオーナーが、別れ際に笑ってお土産をくれた。長い時間取材をしていた僕らの姿勢を受け入れてくれたのだと感じ安心した。   

セゴールのディエゴさんは、最終日に頼んでおいたものを取りに行った時には、カフェに誘われ、僕のつくったVTRをうれしそうに見てくれた。  フランス語は必修という、イタリア北部の小さな州、ヴァッレ・ダオスタ。国境に暮らす人々の笑顔に出会うまでの時間が、短くなったと感じたら、この州の魅力にもう一歩近づけるはずだ。

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