イタリア好きVol.3:ウンブリア特集

ウンブリア州Vol.3秋号

『イタリア好き』第3号は
ウンブリア州特集。

イタリア中部のウンブリア州。
周りをトスカーナ州、ラツィオ州、マルケ州に囲まれ、海岸線を持たない。緑豊かで、中世の面影を残す小さな町も多く存在する、とても情緒ある味わいのある州。
季節は、夏も終わり秋の初め。まだひまわり畑はほんのりと黄色が残り。頭を下げたヒマワリのその隣では、収穫を今かと待つブドウがたわわに実っている。あと1週間もすると収穫だ。
マッキエの森に着くと、待っていたファウストは、ジープからトリュフ犬を下し、ドンドンと森の中へ入って行った。すぐさま名犬はトリュフを見つけた。でもファウストは少し不満そうだ。そう、だってもうサマートリュフも終わりの季節。本当ならもっと大きな香り高いトリュフを見せたかったから。それでも楽しそうに狩りを続ける。
フィリップさんは、自然で育った豚を使って、その独自の配合でとびきりのサルシッチャを作る。薪ストーブで焼いて食べる。したたる肉汁と、そのうま味は他では味わえない手作りの味。
ピエールマリーニは、忙しい人気店のシェフなのに、時間をかけて丁寧に料理の説明をしてくれる。勤め人から40歳にして料理の世界に入った遅咲きのシェフ。彼の信条は母の教え、人を尊ぶ気持ちを忘れないこと。それが彼の料理やお店には随所にあらわれていた。
標高1500mの高原で、全て手作りでペコリーノを作り続けるサンドラ夫婦、一年中ほとんど休むことなく毎日チーズを作り続ける。毎朝摂れる羊乳で作られるペコリーノは、息の合った夫婦が作りだす、機会作りでは決して味わうことのできないまろやかでやさしい味。
80歳の長男を筆頭に4人兄弟の夫婦がひとつ屋根の下で暮らしながら、キアニーナ牛をエサから全て自分たちで手掛け飼育している。「我々が死んだらもうこの牧場もだれも後は継ぐ人はいない」と。でも、イキイキとして牛の世話をする。
ウンバルトは本当に心温まる人だ。その笑顔、気遣い、ちょつとした振舞い、彼が案内してくれたから、グッビオがとても好きになった。
ウンブリアに特別なことは何もない。自然の持つ力と、それを信じる人、歴史や伝統を重んじ、それで、好奇心と探究心を忘れない。純粋でいて、真剣。そんなウンブリを一番表現していたのは、ジュリオだった。時々お茶目な彼の熱い思いが、今回のウンブリアの旅を一層有意義なものにしてくれた。
ウンブリの真髄に触れた今回の旅、どうぞお楽しみ下さい。
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イタリア好きVol.2:プーリア特集

プーリアVol.2夏号

『イタリア好き』第2号は
プーリア特集。

イタリアのかかとに位置するプーリア州。州都はバーリ。東西を海に囲まれ、イタリアでいちばん大きな州。イタリアの食糧庫と言われるほど、野菜や果物も豊富で、ワインやオリーブの生産量も非常に多い。
庭先のフィオローネを、ぶっきらぼうにもぎ取って食べさせてくれたオラッツィオは、言葉少なに歓迎してくれた。実はこれがこの季節のプーリア風の歓迎だったのだろう。取材に行く先々で、庭先の果物をもぎたてで食べさせてくれる。太陽の光をたくさん浴びて、熟した自然の味は、忘れていた果物本来の味を思い出させてくれたし、プーリアの食の豊かさを実感させられた瞬間でもあった。
そして料理人たちは、自分の腕を信じつつ、郷土色を失わない、誇りを持って提供される料理は、どれも素朴でありながら、味わい深いものだった。
いまは料理をするよりも、畑を見守るほうが楽しみだと、丁寧に野菜を育てていたアンティキサポリのピエトロや、お父さんの意思、プーリアの伝統を受け継ぎつつ、好奇心と、探究心を持って、新しいオリジナル料理を提供する、アル・フォルネロ・ダ・リッチのアントラネッラも、持ち込んだ長インゲンを見事に調理してプーリアらしいパスタに仕上げてくれた、トゥルッロ・ドーロのダヴィディも皆、素晴らしい料理人だった。中でも、寡黙で、冒頓とした中に、自分の信念を持って料理を提供する、チェント・ローネピッコロのシルヴェストは、今回一番印象に残ったシェフだ。
そして、なによりも皆がこの土地を愛し、土地で育ったものを大切にする思い、この思いをとても強く感じた今回の旅だった。そんな まじめで働き者のプリエーゼ(プーリア人)の心温まるホスピタリティに触れた今回の旅をどうぞお楽しみください。

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