12月28日18:00を持ちまして本年の業務は終了いたします。
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ご確認の上、ご了承ください。
それでは皆さま、良い年をお迎え下さい。
イタリア好き委員会
vol.8 マルケ州
海と山、男と女
それぞれが魅力を引き立てるマルケ
アドリア海の
ブルーは豊かさの証し
包容力のある男と、しなやかな強さの女
マルキジャーニは温和で親切だ。海に近い町を多く訪ねたせいもあるかもしれないが、初対面こそとっつきにくいところもあるが、時が経つにつれ、親しみやすく、僕らを温かく迎えてくれた。その包容力と同時に、女性にはしなやかな強さも感じた。それはマンマの風格とは少し違う、自立している、という表現が似合っているかもしれない。職を持っている女性にも多く会ったし、妻として家庭に入っていても、夫婦お互いに尊敬し、認めあう男女関係も垣間見た。『イタリア好き』第7号は
ピエモンテ州特集。
ミラノから電車で約2時間半。ビエッラ駅に着いた。大きな駅を想像していたら、何もない小さな駅。そこに迎えに来てくれていたのは、この取材でお世話になる、クラウディオさんと幹子さん夫婦。クラウディオさんから手渡された名刺には”原始人”と書かれていた。それは奥さんの幹子さんからそう呼ばれていて、最近では、イタリア人の友人もプリミティーボと呼ぶ。今回の旅はそんな彼のこだわりがたくさん詰まった旅になった。
最初に訪れたのは、標高1200m付近でトーマチーズを作る、マルガリ族のレナータさんのところ。石積みの小屋で、全てが手作りされる。ここでは、一晩寝かせた脱脂乳を使う。強い香りが印象的だが、口に入れるとまろやかだ。その副産物としてバターも作っているが、トーマもさることながら、このバターが何とも言えない。牛に負荷をかけず、少量しか生産しないので熟成するまでに待っていると、トーマを手に入れるのは難しい、このあたりでは評判の味だ。
ボーカのクリストフさんは、スイス人。以前はバローロよりも有名だったというボーカのワインは、土地の荒廃と産業の発達によって一時は衰退していた。ワインのインポーターをしていた彼が、ボーカのワインを飲んだ時に運命を感じ、苦労の末、土地を購入し、伝統的なボーカのワインの製法を学び、ボーカのワインを復活させた。スイス人でありながら、イタリアのこの地をひといちばい愛し、ワインを愛する彼の情熱に、今では地元の人も一緒にワインづくりを楽しんでいる。
自然派ワインの愛好家として、フランスでも評価の高いビエッティさんは、ピアニストが本業だ。最初は気難しげな、話し難い印象だった。ところが話し始めた彼は、自然体で気取りなく、ワインのことを静かな口調で熱く語った。その人柄が、バローロの有名な作り手たちからも絶大なる信頼を得ていることを納得させた。その彼を信頼し、良き相談相手として慕い、友人でもあるアウグストさんは、バローロの名門カンティーナ、ドットール・ジョゼッペ・カッペラーノの4代目。飄々として、伝統や歴史の重みなど感じさせない雰囲気の彼だが、話しているとヒシヒシと伝わる芯の強さは、これからどんなワインを作っていくのかとても楽しみになった。
トラットリア・タコノッティの夫婦、リッチさんとアンナさん。お店に入ると、そこはまさにふたりが作り上げた空間だった。選ばれるワイン、出てくる料理、そして何よりもそこに流れる時間がとても心地よく、まるで、ふたりの家に招待されているそんな幸せな時間だった。
ピエモンテでオリーヴ作りに挑戦しているヴァレンティーノさん、オリーヴ作りへのこだわりはむろん言うまでもないが、年金生活の両親の存在が、彼の大きな支えとなっているのは間違いない。父親は愛情たっぷりに、「ゆっくりしている暇もないよ」と愚痴りながらも、彼よりも畑に経つ時間が長い。母親は料理の名人。ふたりが手塩にかけて作ったオイルを存分に味わえる料理を毎日欠かさず作る。そんな家族愛の詰まったピエモンテ産のオリーヴオイルだ。
ビエッラの街で、誰もが知っている人がふたりいる。ひとりは、1916年創業のモスカの4代目主人、ジョヴァンニさん65歳。精肉業からスタートした店は、今では、お肉を始め、チーズや、惣菜、食材のあらゆるものがそろう、ビエッラいちの食品店となった。毎日5時半に起き、毎日店に立つ。お客様に信頼される店になるために、素材から商品になるまでを全て、店内で仕上げる。毎週木曜日は牛を買いに行く。自分の目で確かめ、自分が間違いないと思ったものしか店頭に並ばない。だからお客様の信頼は絶大だ。特に印象的だったのは、牛のことでも、店のことでも、とても楽しそうに話す。自分の仕事に誇りと自信が滲みでていた。そしてもうひとりは、パニーニ屋台のアントニオさん。いつも彼のトラックの前は人だかりだ。もみあげの長い、印象的な顔と、しゃべりにお客さんは魅了される。リズミカルに作られる特製のサルシッチャを使ったパニーノは、ひとくち食べれば、間違いなく笑顔がこぼれる。トニーの魔法が詰まっている。ビエッラに行ったら必ず会いたいふたり。
クラウディオさんが言った、「人生には履歴書では語れない感情の履歴があるんだ」と。その言葉を聞いた時、取材を通して会った人たちの奥行を改めて感じた。
そんな心豊かなピエモンテーゼに会える旅、お楽しみください。
『イタリア好き』第6号は エミリア・ロマーニャ州特集。
小高い丘の上を上がると、ベルティノーロのチェントロだ。 今日はここで、ロマーニャワインと地方料理の祭典がある。 最初の案内人のイタリア人ジャーナリストのロイは、少しせっかちにこれから始まるこの祭典の説明をしてくれた。 広場には、テーブルがセットされ、ワインやチーズの生産者が店を広げていた。 白はアルバーナ、赤はサンジョヴェーゼ、このあたりのワインを代表する品種だ。 皆、試飲グラスを片手に、お気に入りのワインを見つけ、会話も弾む。ワイン祭典は深夜まで続いた。 そこでロイから紹介された、ジャンルーカはオリーヴオイルの生産者だ。 翌日は、彼の農園を訪ねた。研究熱心な彼が、希少品種のブリジゲッラを使って、高品質のオイルを作っている。喉を通る時に、ヒリヒリとする辛さが特長だ。元はフォルリに住む貴族のお嬢様のカンティナだった古城で、現在も高品質のサンジョヴェーゼワインを造るアレッサンドロは、上品で知的な紳士。静かな口調で丁寧に話す彼は、日々、伝統を守りながら、ワイン造りを続けていく難しさも語っていた。
『イタリア好き』第6号は
エミリア・ロマーニャ州特集。
小高い丘の上を上がると、ベルティノーロのチェントロだ。
今日はここで、ロマーニャワインと地方料理の祭典がある。
最初の案内人のイタリア人ジャーナリストのロイは、少しせっかちにこれから始まるこの祭典の説明をしてくれた。
広場には、テーブルがセットされ、ワインやチーズの生産者が店を広げていた。
白はアルバーナ、赤はサンジョヴェーゼ、このあたりのワインを代表する品種だ。
皆、試飲グラスを片手に、お気に入りのワインを見つけ、会話も弾む。ワイン祭典は深夜まで続いた。
そこでロイから紹介された、ジャンルーカはオリーヴオイルの生産者だ。
翌日は、彼の農園を訪ねた。研究熱心な彼が、希少品種のブリジゲッラを使って、高品質のオイルを作っている。喉を通る時に、ヒリヒリとする辛さが特長だ。元はフォルリに住む貴族のお嬢様のカンティナだった古城で、現在も高品質のサンジョヴェーゼワインを造るアレッサンドロは、上品で知的な紳士。静かな口調で丁寧に話す彼は、日々、伝統を守りながら、ワイン造りを続けていく難しさも語っていた。
取材した6月は、少し不安定な天候の日が多かった。
その日は、明け方まで降っていた雨が止んでいて、丘を登るにつれ、霧が晴れた向こうに見えたのは、中世の佇まいを残した、ブリジゲッラの美しい村と、それを見守る城塞だった。その美しい村にある、ホテル・リストランテ・ラ・ロッカのダニエレは、まじめで、とても親切な男だった。
彼が作る料理は、この土地で獲れたものを大切にし、伝統を守りながらも、新しいエッセンスを取り入れた、彼の情熱が伝わる味だった。そして、そのダニエレに野菜や果物を提供しているのが、この村で、長く有機栽培で野菜や果物を作るレナートさん。
戦時中は激しい戦いの場となったここで、料理人との信頼関係を築き、「もう引退だよ」と言いながらも、熱い思いを語り、今もまだ現役を続ける彼は、この州の人たちを象徴しているようだった。
レッジョエミリアのパオロは言っていた。「イタリア人の中には、今も中世の気質が流れている」と、ここを旅していると、その言葉の意味がなんとなくわかったような気がした。
伝統と革新が交差した、豊かな地、エミリア・ロマーニャの旅をお楽しみください。
『イタリア好き』第4号は
サルデーニャ州特集。